宮城県仙台市には「炉ばた」スタイルを確立したお店がありました。
郷土酒亭元祖炉ばたでは日本・仙台の歴史を感じながら食事をすることができます。
まとめ
元祖:天江富弥 氏
発祥:郷土酒亭元祖炉ばた(閉店)
令和2年6月に惜しまれながら閉店しております。
私たちが想像するであろう「炉ばた焼き」はこの店で修行した方が開いた釧路のお店が発祥です。
炉ばたと炉ばた焼きは違う?仙台で誕生したのは炉ばたというスタイル
多くの人が炉ばたと聞いて連想するのが、お店の人が中央に鎮座し焼きあげた商品を大きなへらで手元に渡してくれる光景だと思います。私もそうでした。
しかし、どうやらそれは「炉ばた焼き」であり、仙台で登場した炉ばたというスタイルは、へらで渡すのは温めた日本酒だったようです。
郷土酒亭元祖炉ばたの店内画像ですが、中央にお店がわの席はありますが焼き場はありません。
画像の矢印部分に日本酒をあたためる場所があり、熱燗やぬる燗をここでつくりへらで渡してくれました。
この箇所にはお酒をあたためるために当然「火」が焚けるようになっています。その傍を囲うように座るため、炉ばたという名前が付けられたのでしょうか。
↑お酒の他には会計時の現金もへらで授受していました。
炉ばた焼きは釧路で誕生した模様。仙台のお店の2番弟子さんが始めました。
それでは私たちが想像する炉端焼きはどこで始まったのでしょうか?
これは釧路にある「くしろ 炉ばた」といわれています。
出典:くしろ 炉ばた
このくしろ 炉ばたは仙台の炉ばたで修行をされた2番弟子さんが開いたお店と言われています。
海産物が豊富な釧路でこの焼きあげるスタイルが確立されたのだと思われます。
ちょっと紛らわしいですが、仙台と釧路の炉ばたの違いとして覚えておくこととします。
焼きあげた料理は店の奥からだしてくれました。
私も炉ばたとは、店の人がへらで焼いた魚などを出してくれると思っていたのですが、元祖・発祥の郷土酒亭元祖炉ばたでは焼いた魚などの料理は奥にある厨房からはこばれるスタイルです。
つまり、普通の提供方法です。
炉をつかい、そしてへらでの提供はあたたかいお酒になりますので、その点はご注意ください。
東北の文化人たちが集まった郷土酒亭元祖炉ばた
仙台の郷土酒亭元祖炉ばたはそのユニークな提供スタイルだけで有名になった訳ではなく、店主を囲みながら東北の文化人たちが集まり、さまざまな議論がなされ東北の文化人たちが集まる店としても有名だったようです。
炉端焼きの発祥の店とされ、炉を囲んで多くの文化人、知識人が酒と会話を楽しんだ仙台・国分町の「郷土酒亭 炉ばた」が、6月末で閉店する。多才な趣味人として知られた故・天江富弥が70年前に開いた店。代替わりしながらもその灯を守ってきたが、新型コロナによる客激減に耐えられなかった。惜しむ声があがっている。
天江は日本で初の童謡専門誌を創刊し、郷土史やこけし研究、竹久夢二の収集でも知られた。戦後間もない1950年に「炉ばた」を開業。交遊の広い天江を慕って、美術家岡本太郎、版画家棟方志功、俳優仲代達矢、作家遠藤周作、永六輔各氏らが通い、まちの人と交じりあって文化談義に花を咲かせた。
出典:朝日新聞
「炉ばた」のマッチラベルは、売れる前の棟方志功が描いた。
出典:Wikipedia
単純な元祖の店ではなく、東北文化の礎となった場所と聞くと歴史を感じさらに料理をうまく感じてしまいそうです。
店内の設えはその歴史を感じさせる調度品で整えられていました。
棟方志功ではない(たぶん)
残念ながら令和2年6月末をもって閉店。
とても残念なことですが、この炉ばたスタイルを作り上げた郷土酒亭元祖炉ばたは令和2年(2020年)6月末にて閉店です。
日本各地の元祖・発祥グルメを食べ歩いていると、昭和に生まれた元祖・発祥の店たちがどんどん閉店しています。
いつまでもあると思っていると急に無くなってしまう元祖・発祥の店たち。営業しているうちにすぐに食べに行くのが正解のようです。