鹿児島県を訪れていると、ホテルの朝食や飲食店にて「鶏飯(けいはん)」の文字を見ることが多くあります。
鶏飯はご飯にさまざまな具材をのせ、そこに鶏スープを注いで食べるだし茶漬け的な食べ物です。
鹿児島県内であれば多くの施設で食べることはできますが、鶏飯が生まれたのは奄美大島と言われています。
その奄美にて鶏飯の発祥の店といわれている「みなとや」にて鶏飯を食べてきました。
まとめ
元祖:岩城キネ さん
発祥:みなとや
元々あった郷土料理を料理として昇華させ「鶏飯」のメニュー名もつけたようですね。
「鶏飯元祖みなとや」は奄美空港から車で約10分。とても利用しやすい場所に在る。
奄美に出張や観光で訪れたのであれば、やはり奄美の美味しいモノを食べたい!と考える人が多いのではないでしょうか。
実際に奄美に行ってみるとわかるのですが、
奄美は、、、結構でかい。
鹿児島県の他の島と比べるとけた外れに大きいため、車で島を一周しようとすると約6時間ほどの時間がかかります。
また、奄美空港自体が市街地ともいえる「名瀬」エリアから約1時間ほどかかる距離にあるため(要は遠い)
ちょっとした空き時間で何か名物を食べようと思うと、非常に難しい島です。
そんな奄美での食事において、非常にうれしいのが元祖鶏飯みなとやがある場所です。
奄美空港から車で約10分ほどの場所に在るため、気合を入れたらタクシーでも十分利用可能な場所です。(タクシーには食事中も待っていてもらわないといけないですが)
奄美空港には飲食店が、ファミレスのジョイフルとカレースタンドのASJという店しか無く、もちろんこの二つでも良いのですが、奄美的な食べ物食べたいな、、、と考える人にとっては、選択肢がないとも言えます。
そんな時、元祖・発祥の店である「みなとや」がこの立地で営業していることは朗報です。
ただし、みなとやは営業時間が11:00~15:00まで(材料が無くなり次第終了)、そして不定休で営業している店なので、タイミングと運が必要になることだけはご注意ください。
鶏飯は400年前から食べられていたメニューを昭和20年にアレンジした料理。天皇陛下がおかわりしたことで一躍有名になりました。
元祖・発祥の店を巡っていて楽しいのは、店によっては料理に対しての歴史が語られている点。
この元祖鶏飯みなとやでも、石碑に鶏飯の歴史が刻まれていました。
鶏飯元祖の由来
鶏飯料理は、今から約四〇〇年前、奄美が薩摩藩の支配下のころ、ここ赤木名で役人をもてなすために考え出された超贅沢な料理でした。
内容も鶏肉の炊き込みご飯で、庶民には口にすることも出来ない高級料理でした。
昭和二十年、当みなとや旅館開業にあたり、初代館主岩城キネ がふるさとの料理復活の研究の末、開発した料理の一品で現代風にアレンジし「鶏飯」として呱々の声をあげ、今日に至っております。
さらに、昭和四十三年四月、現在の天皇・皇后両陛下ご来島の折、奄美を代表するお食事として当館の鶏飯が推奨され、両陛下が「おいしい!もう一膳」と催促までなされ大好評をいただきました。
これを機に、またたくまに全郡に広がり、鶏飯元祖として、面目躍如、その普及ぶりに驚いているところであります。
どうぞ末永くごひいきのほど、よろしくお願いいたします。
出典:みなとや 前石碑 ※原文まま
調べてみると、炊き込みご飯のような形が生まれた姿のようです。石碑に書いてある通り元々は役人をもてなすために作った以前より、地元では野鳥などを用いて料理され、食べられている料理でした。
現在のような、出汁茶漬け的な料理になったのは、みなとやが開発したようですので、おおもとの料理とはかけ離れてしまいました。
天皇・皇后両陛下(当時)が、どのようにおかわりしたのかは不明ですが、石碑を信じるのであれば、かなりの勢いで頼まれたわけですから、美味しかったのだと思います。
それにしても、このような石碑の文面で「超贅沢」という表現を使っている点がかわいくて好きです。
とにかくスープが美味しかった「みなとや」の鶏飯
みなとやは人気店かつ営業時間が短いので入り口で待たされました。店内を見ると席はかなり空いているのにお客を通しません。なぜなら、人が足らないから。
牧歌的な空気が流れる店内ではイライラせずに自分の番を待ちましょう。
↑鶏飯は1,000円。かなりの量なので食べきれないかも。
みなとやの鶏飯、侮れず。残念な元祖・発祥の店もあるなか非常に美味しい鶏飯でした。
元祖・発祥の店を食べ歩いているのですが、実は元祖のお店の中には、生まれたままの姿に固執するあまり、有名メニューとなった現在においては少し型遅れになっているお店もあったりします。(それはそれで楽しいのですが)
このみなとやの鶏飯は、上記のようなことは無く、数多く食べた鶏飯の中でも美味しい部類の鶏飯でした。
↑みなとやの鶏飯 トータルすると非常に美味しかった。
とにかくスープがおいしかったのが、その理由かなと思っています。
鶏飯を食べてみて驚いたのは何といってもスープの美味しさでした。
鍋に大量に入っている鶏スープのいろはきれいな金色。澄み渡るこの鶏スープ、旨味が凝縮されていて非常に美味しかったです。
店内の掲示物を読んでみると、
当店では鶏の旨味を出す為、町内産の雌鶏をまるごと煮込んだスープを作っております。
出典:みなとや 掲示物
と書かれており、奄美の島で育った鶏を用いているようです。
何度もいってしまって恐縮ですが、本当においしかったこの鶏スープ。スープには鶏の脂が溶け出しており、飲むと唇がてかてかになります。
スープ単体で飲むと少し塩分が強い気もするのですが、鶏飯にするためご飯に注いだのちに飲んでみると、適度な塩分に変化します。
非常に自分好みの味でした。
反面、具材は少し貧弱。味付け海苔が良い味出しています。
スープが秀逸だったことと比べてしまうと、少し貧弱だったのが具材です。
他の店で鶏飯を食べるとよくついてくる紅ショウガはありませんでした。また、シイタケなどの味付けも薄いため、鶏飯を食べきっても具の印象はさほど残っていません。
ただ、不思議なことに鶏飯として調理した後はスープを邪魔しない存在ともいえ、総合点としては非常においしいという結果につながっています。
非常に満足いく元祖・発祥の店めぐりとなりました。
奄美に出張や観光で訪れた際には、この元祖鶏飯みなとやの鶏飯は外せない一品になると思います。
少しだけ足を延ばしても食べたい名物だと思います。