東の東京、西の大阪、この二つの都市は様々な場所で争っているわけですが、こと元祖・発祥のお店という分野においても、互いに主張を譲らないことが有ります。
オムライス もそんな料理の一つ。
東京銀座の煉瓦亭が元祖ともいわれたり、いやいや大阪にある北極星という店が元祖なのだと、意見の分かれるところです。
実際に大阪・北極星にてオムライスを食べ、ご自身で元祖の味かどうかを判断するのはどうでしょうか?私は実行してきてみました。
まとめ
北極星にてオムライスが生まれたのは大正14年
対して煉瓦亭でオムライスが生まれたのは明治33年との情報アリ。
オムライスが生まれたお店は東京の煉瓦亭
大阪オムライス元祖説。北極星は大正14年にオムライスが生まれたと主張。東京オムライス元祖説と比較してみると、東京のほうが古いです。
異なる場所で、二つの元祖を名乗る店があるのであれば、実際に現地で確認してジャッジしてみようと思い、東京の煉瓦亭・大阪の北極星にてオムライスを食べたわけですが、
結果はどうやら東京オムライス元祖説が有力というモノになりました。
大阪オムライス元祖説である北極星のオムライスは大正14年に誕生したという情報を入手しました。
元々、北極星は「パンヤの食堂」という名前で営業しており、そのパンヤ食堂時代にオムライスが生まれたとのこと。
創業間もない大正14年、ご常連のお客様で胃の具合の悪い方が、いつもオムレツと白いご飯を食べておられました。
ある時店主が「いつも同じものでは・・・」と、玉ねぎを炒めケチャップライスにしたものを薄焼き卵で包み、特製料理としてお出ししました。
するとお客様が大変驚かれて「これ、何ちゅう料理や?」とおっしゃったので、店主はとっさに「いつものオムレツとライス、これをくっつけた”オムライス”でんな。」と答えたのが誕生の由来です。
出典:北極星店内メニューより
大阪オムライス元祖説の主張は大正14年に生まれたという主張を北極星自体がしております。
対して、東京オムライス元祖説の煉瓦亭は明治33年にオムライスを作ったと言っています。
北極星の大正14年に対して、東京の煉瓦亭は明治33年に完成していたことをインタビューにて答えていました。
実は、当初は調理場のまかない料理だったらしく、メニューには載せていなかった。「明治33(1900)年の話ですが、コックさんたちが忙しくて、座ってご飯を食べていられない時に、スプーンで片手で食べながら、鍋を動かしたりしているのを、お客さんが見て、何を食べているんだといわれて、それを召し上がっていただいたところ、割とさっぱりしていてうまいということで、知っているお客さんだけに提供していた」(木田さん)ようだが、注文するお客さんが多くなり、「ライスオムレツ」としてメニューに載せるようになったのだそうだ。
出典:銀座新聞ニュース
大阪・北極星 : 大正14年
東京・煉瓦亭 : 明治33年
という事ですので、少しの前後があったとしても、オムライスの元祖は東京にありそうです。
また、互いの主張だけでなく煉瓦亭のインタビュー記事の中に裏付けるような記述もありました。
ちなみに、プレーンオムレツで具を包むというオムライスができたのは、日露戦争(1904-1905)の直後、明治38(1905)年以降だと木田さんが話してくれた。
~中略~
それは「煉瓦亭だけではなく、当時銀座では4件ほど西洋料理屋から洋食屋に移行した店があって、みな仲間だったらしく、話し合いながら研究していった」のだそうだ。
出典:銀座新聞ニュース
煉瓦亭の元祖オムライスは、現在「オムライス」と聞いて想像するようなプレーンオムレツで包んだタイプのものではありません。
対して、北極星のオムライスはプレーンオムレツで包むタイプのオムライスです。
北極星自信が、オムレツでライスを包んだと表現していることもあり、発生は明治を終えて大正に入ってからとみるほうが妥当です。
うちが元祖です!という話だけでなく、料理の誕生時期まで語られてしまうと、やはり煉瓦亭がオムライスの歴史と共に歩んできていることを少し裏付けてくれます。
何も参考にしないでオムライス自体を思いついたのかもしれませんが、遠く離れた東京の地で他の人も同じように思いつき、メニュー化をしていたようです。
上記の内容から当ブログでは、オムライスの元祖は大阪ではなく、東京という事にいたします。
大阪・北極星はオムライス元祖ではないかもしれないが、「ホルモン料理」は元祖・発祥のお店かも?
北極星はオムライスの元祖では無さそうですが、元祖メニューをもっていないわけであはありません。
「ホルモン料理」については、古くから提供しておりそして、「北∞ホルモン」という商標も昭和12年の段階で取得しています。
ホルモンで商標を探してみると、昭和の時代に商標登録しているのは北極星だけです。
↑昭和12年に「ホルモン」が入っている商標を取得している。
他のお店達が根拠となるモノを持っていない状況も鑑みても、少なくとも北極星はホルモン料理については、古くから提供していることを示せるのだと思います。
そしてまさに内臓料理としてのホルモン料理の初出として魚谷常吉『長寿料理』(1936年)をあげ、昭和になると料亭「山水楼」や洋食屋「北極星」が内臓料理をホルモン料理として提供していたことを記している。
出典:Wikipedia
ただし、これも調べてみると当時多くのお店が出していた内臓料理=ホルモンを登録しただけということがわかりました。
既に一般的な言葉となっていた「ホルモン」の商標登録が取れなかったことから、オリジナルのロゴを組合せ、また範囲も絞って登録していたことがわかります。
それでも歴史を感じることができるわけですが、、、
すごーーく残念なことに、現在の北極星では、ホルモン料理は一切提供されていません。
お店にいって、メニューを穴があくほどに眺めてみましたが、せっかくの自社の武器を全くつかっておらず、ホルモン料理が無い状態なのです。
これは、非常にもったいないので是非ホルモン料理を復活させてもらいたいです!!
検証の結果、どうやらオムライス元祖・発祥は大阪ではなく東京だという結論になりそうですが、煉瓦亭のオムライスが現在一般的に食べられているオムライスと異なるモノに対して、北極星のオムライスは食べやすく、そしておいしさも素晴らしいです。
元祖・発祥グルメではないかもしれませんが、大阪オムライスの歴史を感じるために食べに行ってみてはいかがでしょうか。
北極星さんには、ホルモン料理を強く推して欲しいです。歴史と文献そして商標ががそろっている例は稀なので、是非活用してほしいと願っています。